​症例報告

​専門用語が飛びかっているため、チンプンカンプン?…かもしれませんが、そこは適当にスルーして下さい(笑)。東洋医学的根拠をもって施術している…という事を、なんとなくでも感じ取って頂けたら幸いです。今後も少しづつ更新していきます。

 

【症例報告:目次】

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症例1:逆子

症例2:不眠・嘔吐

症例3:腰痛①

症例4:頚椎ヘルニア

症例5:肩こり

症例6:ギックリ腰

症例7:腰痛②

症例8:うつ病

症例9:打撲

症例10:倦怠感・発熱

症例11:月経前症候群

症例12:頚〜肩甲骨の痛み

症例13:腱板炎

症例14:神経症(不安症)

症例15:足指のシビレ

症例16:下腿外側の痛み

 

​症例16:下腿外側の痛み

現病歴:60代男性。1ヶ月程前、左腰部と殿部の痛み、それに伴い下腿外側〜足背にかけての痛みが起こる。3年前に椎間板ヘルニアの経験があり、その症状に近いため医者に行ったところヘルニアは否定されたとの事。飲み薬を服用しているが、効き目がないため来院。

病証:肝虚胆実証

脈診、痛む場所、太衝と足臨泣の強い圧痛、足の爪に異常がある事…などから、肝虚陰虚証であり虚熱が胆経に波及した状態と考えた。また、西洋医学的観点からすると、痛む場所のデルマトームから判断して、L5およびS1神経の障害と考えられる。今回はヘルニアではないようだが、周囲の筋による圧迫、または何らかの原因による血流不足により、L5,S1神経が障害されたのかもしれない。

施術:ポイント流注マッサージ

①本治法として、太衝・太渓・三陰交・郄門・中脘・気海に置鍼10分

②膀胱経(腰部・殿部を重点的に)、および腎経のマッサージ

③腎兪・腰眼・委中・崑崙・大腸兪(灸頭鍼2壮)・L5とS1間の夾脊穴(深刺)・左承扶(深刺)・左飛揚・左附陽に置鍼10分

​④左下腿の胆経および胃経のマッサージ

⑤足三里・解渓・衝陽・陽陵泉・陽輔・丘墟・足臨泣(全て左)に置鍼10分

コメント:1回目の治療ではさほど効果が無かったのですが、2回目の治療でガラッと変わり「10の痛みが2になった」との事で、ちょっと驚きました。それ以降、同様の治療をし今では時々違和感はあるものの、症状はほぼ気にならなくなっているようです。この患者様には、定期的に通って頂いております。

 

​症例15:足指のシビレ

現病歴:70代女性。足先のシビレ、及び前足底のむくみ感が常にある。本人曰く、以前、除雪作業を長時間やった時に足先が黒く変色した経験があり、それ以来、症状が現れるようになった…との事。

病証:肝虚陰虚熱証

指は陽気(気血)が巡りやすい部位である。手指においては陽気が良く巡るからこそ細かい動きができるのである。しかし、その反面で陽気の熱が冷めやすい部位…という欠点もある。以上から今回の症状は、長時間の除雪作業をきっかけに外気(寒気)の影響を受け、足先の循環障害に陥ったと考えられる。従って、局所を中心とした気血循環の改善が必要と言える。

施術:正経流注マッサージ

①足の第1指には脾経と肝経が巡る。同様に第2・3指には胃経、第4指には胆経、第5指には膀胱経が巡る。その流れに沿って各指を重点的にマッサージ

②足底は腎の支配領域なので、足底および腎経を重点的にマッサージ

③補助的に太衝、足臨泣に置鍼。同時に前足底3ヶ所にカマヤ灸1壮

コメント:1回目の治療である程度の効果が出たため、ご本人も驚かれていました。その後、3回程の治療をした時には、前足底のむくみ感はやや残るものの、足指のシビレはほぼ気にならなくなったとの事でした(本人曰く、一番辛い状態を10とすると2まで下がった)。「シビレ」は治すのがなかなか難しい症状なのですが、今回は上手くいった例と言えます。

 

​症例14:神経症(不安症)

現病歴:50代男性。3〜4年前より仕事のストレスにより発症。現在通院中で、薬は飲んでいないが月1回のカウンセリングを受けている。現在もストレス(ちょっとしたトラブルや車の運転など)を感じる事があると、息切れなどの身体症状が現れる。その他、不眠、全身倦怠感などもある。

病証:肝虚陰虚熱証

精神を主る心(および心包)への気血循環が悪くなった状態だと考えられる。その反応が現れるツボ(心兪と神堂)の部分、即ち、肩甲骨内縁とその周囲の硬結が強い。

施術:正経流注マッサージ

心経、心包経は上肢にあるので、これらに対して重点的なマッサージを施す。さらに硬結のある背部に対しても痛くない程度の力で筋肉を緩める。その後、補助的に心兪、神堂に置鍼(10分)

コメント:初めて来院された時は顔色が悪い状態でしたが、治療後はほんのりピンク色になり血色が良くなった印象でした。その後、数回の治療で全体的に落ち着くようになったとの事。これは治療効果のみならず、ご本人の「無理せずに自分のペースを守る」という心構えも大きく関わっていると思います。この患者様には現在もご来院頂いておりますが、1日も早い回復を望んでいます。

 

​症例13:肩関節痛(腱板炎)

現病歴:50代女性。3〜4年前から両肩が痛む。肩関節外転・屈曲は90°までしか上がらない。日常生活においては、エプロンを結ぶのが辛い(結帯動作不能)、髪の毛を結べない(結髪動作不能)、車のシートベルトをつける時に痛む…など。左右共に肩髎周辺に圧痛あり。後頸部から肩背部の筋緊張が強い。

病証:肝虚陰虚熱証

肩関節の痛み、及び肩背部の筋緊張は、筋を主る肝が虚した事により、十分な気血を筋に送ることができず、潤いが無くなったために起った現象だと考えられる。肩の痛みは圧痛部から判断して回旋筋腱板(特に棘下筋腱)の炎症と言える。

施術:正経流注マッサージ

腱板炎は、肩関節を補強する筋群(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の腱の炎症であるため、これらの筋の緊張を緩和させる必要がある。そのため、肩甲骨周辺を巡る小腸経を重点的にアプローチ。また、マッサージ後、補助的に鍼治療を行う(肩髎に灸頭鍼、その他2ヶ所に置鍼10分)

コメント:2回程の治療でエプロンが結べるようになりました。その後、数回の治療を経て右肩がだいぶ楽になっている様子でした。しかし左肩にはまだ痛みがあるとの事。この患者様は現在も週に1回のペースで来院されていますが、この調子でいけば、もう少しで2週に1回のペースとなり、やがて完治に至るものと思われます。

 

​症例12:頚〜肩甲骨の痛み

現病歴:40代女性。昨日から急に左頚部から左肩甲骨内縁部分に痛みが起こる。原因は不明だが、本人曰く「寝違いみたいな感じの痛み」との事。左回旋および前屈時に痛みが増悪。同様に左腰部にも痛みがある。その他、昔から血尿が時々見られる。

病証:腎虚陰虚熱証

脈診から腎虚陰虚熱証であり、その虚熱が表裏関係にある膀胱経(特に2行線)に波及したものと判断。また、体質的にも腎虚であり、血尿は虚熱が膀胱に入る事で起こる現象ではないか…と考えた。

施術:正経流注マッサージ

「腎虚=肺の虚+腎の虚」なので、肺経と腎経および痛む箇所である膀胱経に対して重点的にマッサージを施す。その後、補助的に置鍼を行う(左右天柱、左肩外兪、左肩甲骨内縁の硬結部、左大腸兪)

コメント:術後、頚の痛みがすっかり取れたようで大変喜んで頂きました。あれだけ喜んで頂くと、嬉しい反面ちょっと照れてしまいます(笑)。その後、この患者様からのご紹介で、新たな患者様にもご来院頂きました。大変、ありがたい事です。今後も皆さまに喜んで頂けるよう頑張ります。

 

​症例11:月経前症候群

現病歴:40代女性。2~3日前から前頭部痛(重さを伴う)、腰痛、右殿部痛が現れる。その他、昨日はなかなか寝付けなかった。本人曰く「月経前症候群では?」との事。

病証:腎虚陰虚熱証

脈診から腎虚陰虚熱証と判断。腎は生殖に関わる臓であるため、月経前症候群が現れる可能性は十分にある。そしてその虚熱が、胃経及び膀胱経に波及した事により、前頭部痛、腰痛、殿部痛を引き起こしたと考えた(胃経も膀胱経も前頭部に分布している。さらに膀胱経は、背中から下肢にかけて長く縦方向に走行している)。

施術:はりきゅう

①仰臥位:中脘、天枢、気海、三陰交に置鍼しつつ、頭顔面部を走行する胃経と膀胱経を流注に沿ってマッサージ。続いて、腎虚に対して経渠、復溜の単刺(難経六十九難の配穴)
②伏臥位:肺兪、胃兪、腎兪、委中、右承扶に置鍼。大腸兪に灸頭鍼2壮。湧泉、失眠にカマヤ灸1壮
③仰臥位:胃経に対するアプローチとして、頭維(前頭部にある穴)、足三里、解渓(清熱作用あり)に置鍼

コメント:術後、前頭部・腰部・殿部の痛みが軽減。この患者様は定期的に来院されている方なのですが「鍼灸って月経前症候群にも効くんですね。ビックリ!」と驚かれていました。鍼灸が効きやすい体質のようです。

 

​症例10:倦怠感・発熱

現病歴:40代女性(普段は腰痛治療のために来院されている方です)。予約日の前日に急に熱っぽさを感じる。翌日も同じような感覚があったため、体温を測ってみると37.8度であった。同時に手首、膝、股関節などに若干の痛みがある。悪寒はなく、また下痢などの内臓病変もない。

病証:肺虚証

内臓病変を伴わない悪寒・発熱は肺虚の症状である。肺は「気の本」と呼ばれ、全身の気の流れを調節する臓である。肺虚になると体表を巡る陽気(熱性の気)が少なくなり「悪寒」が現れる。次いで陽気循環も悪くなっている状態なので、陽気が体表に停滞してしまい「発熱」が起こる。さらにその熱が「関節痛」を引き起こす。今回は悪寒は無かったものの、脈の状態やその他の症状から、肺虚の初期段階と考えて施術する事にした。

施術:はりきゅう
①肺虚に対して太淵、太白(難経六十九難の配穴)
②体表を巡る陽気は胃で造られるため、脾胃を補う穴を用いる(三陰交、足三里、中脘など)
③補助穴として肺兪
、脾兪、胃兪。腰痛に対して腎兪、委中に置鍼
④悪寒・発熱時の特効穴である大椎への透熱灸(10壮くらい)

コメント:後日、患者様から聞いた話では、施術をした2~3時間後には、熱感が無くなりスッキリしたとの事でした。鍼灸が肩コリ・腰痛などの運動器疾患のみならず、それ以外の病気にも効果があるんだな~…と改めて感じました。

 

​症例9:打撲

現病歴:40代男性…というか私本人です(笑)。10月23日、少林寺拳法の練習中、右腓腹筋外側頭(ふくらはぎの外側の部分)を打撲。後ろ回転廻し蹴りをやった際、相手の肘に当たったと思われる。暫くすると患部が腫れ上がり(強い圧痛あり)、歩行が困難となる。数日後(10月27日)には、少林寺拳法の全国大会があるというのに…(T_T)

施術:はりきゅう

打撲や捻挫の治療は、基本的には局所治療(標治法)でよい。応急処置としてまずやるべきは「アイシング」「圧迫」「挙上」「安静」であるので、それをベースに以下の治療を行う。

①患部を冷やす

②右陽陵泉(筋会=筋疾患に有効な穴)、右飛揚、右崑崙、患部の硬結3ヶ所に置鍼(浅く刺す)

③右陽陵泉と患部の数ヶ所にパイオネックス、及び気休め程度に市販の湿布を貼る

④サポーターによる圧迫

⑤座布団を折りたたみ、その上に脚を載せてそのまま就寝

コメント:翌朝は10の痛みが7〜8程度に下がっていましたが、長い時間は歩けない状態でした。しかし夕方になる頃には、痛みはあるものの普通に歩けるようになっていました。とは言え、まだまだ激しい運動ができるレベルではないので、大会に間に合うよう今日も頑張って治療します。

 

​症例8:うつ病

現病歴:40代女性。10年前よりうつ病を発症、現在も通院中。夕方になると急に不安感が現れ、身体全体のシビレ・手の震え・息苦しさなどの症状が出現する。睡眠時間は短く毎日3〜4時間ほどで熟睡感もない。うつ病以外に腰痛もある。

病証:肝虚陰虚熱証

​脈診などから肝虚陰虚熱証と判断。うつ病は「心の病」であり、鍼灸治療においては精神活動の中枢である「心」へのアプローチが必要となる。また、うつ病は脳内物質の分泌異常から起こるとも言われているため「腎」に対する施術も加える事にした(※)

(※)脳は骨髄が集まったものであり(髄海という)、その骨髄は腎の支配下にある

施術:はりきゅう

①仰臥位:中脘、気海、三陰交、足三里、神門、内関、太渓、築賓に置鍼しつつ、健脳作用がある百会を中心とした頭部のマッサージ

②伏臥位:肝虚証の本治穴として陰谷と曲泉に単刺。その後、肝虚証治療の補助穴として肝兪と腎兪、さらにその精神作用に対する穴として魂門と志室、心に対する穴として心兪と神堂、腱脳作用がある穴として天柱、腰痛治療に対する穴として委中・承山・崑崙…これらに置鍼しつつ、腰痛の局所穴である大腸兪に灸頭鍼(3壮)。最後に不眠治療として失眠にお灸(5〜6壮)

コメント:この患者様には何度か施術を行っています。最近では「今日はシビレがなかった」や「昨日はいつもより睡眠時間が長かった」などの小さな変化があり、少しづつではありますが改善傾向にあると思います。この結果は施術効果だけのものではなく、患者様の「うつ病と戦っていこう!」という前向きな気持ちも大きく関わっているのではないでしょうか。うつ病の治療は長い時間がかかると言われていますが、是非ともこの患者様には、その前向きな気持を持ち続けて頂き、いつの日か明るく元気な姿に戻ってもらいたいものです。そのためにも、微力ではありますがお手伝いをさせて頂きたいと思います。

 

​症例7:腰痛②

現病歴:40代女性。約20年前、腰椎の脊柱管狭窄症手術の経験がある。その時はヘルニアもあったが、それに対する手術は行っていない…との事。それ以降、腰痛に悩まされている。仕事柄、立っている事が多く、疲れてくると右腰部、右殿部、右下肢後面が痛み、加えて右下腿外側〜足背にかけてシビレが出てくる

病証:肝虚陰虚熱証

​脈診などから肝虚陰虚熱証と判断。腰部の膀胱経にかなり強い棒状の硬結があり、これが気血の流れを阻害し痛みを起こしていると考えた。特にL4.L5間付近を押圧すると下肢全体に響くという。また、下腿外側のシビレは、肝虚陰虚の虚熱が胆経に波及したものと捉え、施術を行う事にした

施術:ポイント流注マッサージ

①鍼(置鍼10分):中脘、天枢、気海、および三陰交

②マッサージ:うつ伏せにて、膀胱経(特に腰部・殿部を重点的に施術)、下肢腎経

③鍼:委中、崑崙、承山、大腸兪、腎兪、志室に置鍼をしつつ、L4.L5間の夾脊穴に灸頭鍼を3壮。その後、腰部の棒状の硬結部数箇所に単刺

④マッサージ:仰向けにて、下肢肝経と胆経

⑤鍼(置鍼10分):右衝陽、右太衝、右足臨泣の局所穴に置鍼をしつつ、足三里、陽陵泉(八会穴の筋会)、曲池、合谷に単刺

コメント:施術後は脚全体が軽くなり楽になるそうです。しかし、数日経つとまた元に戻ってしまうので、何回か通って頂きました。すると、施術を受ける度に調子の良い日数が伸びてきている…との事なので、この患者様には、今後も定期的に施術を受ける事をお薦めし、現在も来院して頂いております。

 

​症例6:ギックリ腰

現病歴:30代男性。仕事中、床にあった物を取ろうとした瞬間に右腰部から殿部にかけて痛めた。前屈でやや突っ張り感があり、後屈および左側屈で痛みが増強する。寝返りもうつのが辛い状態。

病証:肝虚陰虚熱証

​脈診などから肝虚陰虚熱証と判断。肝は筋を主る(つかさどる)臓であり、肝虚の人は筋のひきつりなどがよく起こると言われている。また、普段から肝虚の人は、筋に対して十分な気血を送る事ができないため、筋自体が弱まる傾向にある。そんな状態だとちょっとした動作で筋を痛めてしまう事がある。今回のギックリ腰は、まさにその典型だと思われる。

施術:ポイント流注マッサージ

①座位にて、急性腰痛の特効穴として有名な「腰腿点」に鍼刺しながら、各種の腰の運動を行う。

②マッサージ:寝返りをうつ事もできない状態なので、うつ伏せにして施術を行う。症状が現れている膀胱経、およびその表裏関係にある腎経に対してマッサージ。特に背部、殿部、膝裏の委中(四総穴の一つで、腰痛に対して効果がある)周辺を重点的にアプローチ。但し、患部周辺は軽い刺激に留める

③鍼:崑崙、委中、大腸兪、腎兪、右膀胱兪、右胞肓に置鍼10分。その他、患部周辺2〜3カ所に単刺

コメント:施術後、痛みはまだ残るものの、左側屈はかなりできるようになりました。数日後、2回目の施術を行いましたが、本人曰く「施術した日の夜には、劇的によくなりました」との事だったので、2回目は「正経流注マッサージ」を行い、施術は終了(卒業)しました。

 

​症例5:肩こり

現病歴:80代女性。昔から肩こりに悩まされている。以前はよくマッサージや鍼灸施術を受けていたが、ここ数年は受けておらず久しぶりとの事。足腰も悪く、足底のほてり、右耳の難聴などがある。また、 30年ほど前の交通事故の後遺症か、右手の震えがあり文字をうまく書く事ができない。

病証:腎虚陰虚熱証

​年齢・脈診・随伴症状などから腎虚陰虚熱証と判断。腎経の表裏関係にある膀胱経、また同じ太陽経に属す小腸経の流注の流れが悪いため、肩周囲の筋肉にコリが生じたものと考えた。

施術:ポイント流注マッサージ

①鍼(置鍼10分):中脘・天枢・気海、および三陰交。

②マッサージ:腎虚に対するアプローチとして肺経・腎経。また、それぞれの表裏関係にある大腸経・膀胱経。さらには特に症状が強く現れている小腸経へのマッサージを行う。

③鍼(置鍼10分):局所周辺の筋緊張緩和を目的とし、天柱・肩井・肩外兪・肩中兪・肩甲骨内縁の硬結部(膏肓あたり)。

​④鍼:補助的に足三里・曲池に単刺

コメント:施術後、頭がスッキリしたとの事。また尿意を感じトイレに行かれたのですが、その時「マッサージの後におしっこが出たなんてのは初めての事でビックリしました」とおっしゃっていました。インターネットなどでは、この現象を「老廃物などを排泄するための好転反応」としていますが、東洋医学的に表現すれば「気化すれば即ち能く出ず」となります。膀胱経は背中を下方向に向かって流れている経脈ですが、そこを流れる陽気の降りる力によって、膀胱に溜まっていた水が小便として押し出されるのです。従って、この患者様の場合、施術によって膀胱経の流れがよくなったために尿意を感じた…という事になります。

 

​症例4:頸椎ヘルニア

現病歴:50代男性。突然、右肩甲骨内縁から上肢にかけての痛みが起こった。病院に行った結果「頸椎ヘルニアによるC5神経の圧迫」と診断される。毎日、通院しているが、東洋医学の治療も受けたいとの事で受診。右肩甲骨内縁の痛みは常にあり、頸部を後屈すると右上肢に痛みが走る。時に耳鳴りがある。

病証:腎虚陰虚熱証

​年齢、および脈診の状態に加え、耳鳴りの症状がある事から、腎虚陰虚熱証であり、虚熱が腎の表裏関係である膀胱経に波及し、かつその熱が膀胱経と同じ「太陽経」に属す小腸経にまで及んだ状態と考えた。つまり、肩甲骨内縁の痛みは膀胱経2行線、上肢の痛みは小腸経の流注の異常…という事である。

施術:ポイント流注マッサージ

①鍼(置鍼10分):後天の本を補う事を目的とし、中脘・天枢・関元(それぞれ胃・大腸・小腸の募穴)

②マッサージ:肺虚+腎虚の状態が腎虚であるから、肺経・腎経に対してアプローチ。また、症状が出ている膀胱経・小腸経に対しても重点的にマッサージを施す。

③鍼(置鍼10分):膀胱経の流れの改善を目的として天柱・委中。局所およびその周囲にある穴として、天宗・肩貞・曲池・手五里・肩甲骨内縁の硬結部2箇所(全て右側)。また西洋医学的なアプローチも必要と考え、右頸椎C4−5間、およびC5−6間の挾脊穴にやや深刺。

​④鍼:補助的に足三里・三陰交、また絶骨(八会穴における髄会)に単刺

コメント:施術後、頸部の前後屈がかなりできるようになりました。以降、同じような施術をし、3回の施術で最も辛い状態の半分くらいにまで症状が落ち着きました。その後も何回か対応させて頂き、ほぼ完治したとの報告を受けました。

 

​症例3:腰痛①

現病歴:40代女性。1年前にギックリ腰をし、それ以降なかなか治らない。仕事で重い物を持つ時などに痛みが増悪する。時に右下肢前面から外側にかけてシビレや痛みが起こる事がある。また朝方、起き上がるのが辛いとの事。前屈および側屈時に痛みが誘発される。​その他、肩甲骨内側部のコリがある。

病証:肝虚陽虚寒証

​肝に充分な血が蔵されていれば、朝方に活発になって血を各所へ分配する事ができる(この働きを「発生」という)。しかし肝血不足(=肝虚)の状態では、それができないため朝方に症状が現れる。また、予診票の質問項目には「月経中の下痢」にチェックが入っていた。これは肝虚陽虚寒証の特徴でもある。

施術:正経流注マッサージ

肝虚と言っても、その背景には腎虚がある。従ってこの腰痛は、腎と表裏関係にある膀胱経の流れの異常と考え膀胱経を重点的に施術。特に2行線の肩甲骨内側部の硬結が強く、これが膀胱経の流れを悪くさせ腰痛を引き起こしている…と考えた。

コメント:施術中の体位変換時に痛みがなかった事に本人は驚いていました。また、術後、前屈や側屈時の痛みも軽減しており喜んで頂きました。ただ、肩甲骨部の硬結は完全には取りきれず、やや症状は残りましたが、今後も施術を続ける事で少しづつ改善していくものと思います。

 

​症例2:不眠、嘔吐

現病歴:40代女性。1週間前から急に不眠となる(1日1〜2hしか眠れない)。眠れない時は身体が寒くなりガタガタ震える。よく夢を見る。また、食欲はあるが食べられない事が多く、食後に嘔吐してしまう。鼠径部近辺に圧痛あり。

​病証陽虚に近い肝虚陰虚熱証

虚熱が陽経(または体表)に浮かんできているものの、その力が弱くすぐに冷めてしまうため「身体が寒くなりガタガタ震える」という現象が起こったと考えられる。その他、よく夢を見る、鼠径部近辺の圧痛、脈診などから、肝虚陰虚熱証だが、虚熱が弱く肝虚陽虚寒証に近づきつつある状態と判断した。肝虚陽虚の特徴は「上熱下寒」即ち「胃の部分は冷えているが胸には熱が多くある」状態である。この場合、胸の熱が胃の表面を温めるため、一時的に空腹感は出てくるが、もともと胃が冷えているため思ったほど食べられない…という症状が現れる(これを古典では“飢えて食を欲せず”という)。また食後の嘔吐は、胃が冷えているため、食べ物をうまく処理できない事による症状だと考えられる。

施術正経流注マッサージ

​特に腎経と肝経(五行学説による相生関係)を重点的にマッサージ。その他、補助的に上脘・中脘・足三里・失眠にお灸5〜6壮。

コメント:施術中「身体があったたかくなった」との事。また、術後の脈も安定したので、やや手応えは感じました。一週間後の施術時、良く眠れるようになり嘔吐も無くなった…との事でした。

 

​症例1:逆子

現病歴:30代女性。第2子。妊娠8ヶ月。妊娠当初から逆子だと聞かされていた。第1子の時も逆子だったが自然に治った。妊娠中は夜中にふくらはぎや足の裏をツル事が多くなった。その他、鼻閉感あり。

​病証肝虚陰虚熱証

妊娠中は胎児に血が多く注がれる。その影響で母体の肝血が不足したと考えられる。筋肉のひきつりは筋を主る肝の血不足を示唆しており、さらにその症状が夜中に起こる事から陰虚熱証と考える。そしてその虚熱が頭部へと上り、鼻に停滞した事により鼻閉が現れた(脈診にそれが現れていた)。以上の症状、及び脈診などから「肝虚陰虚熱証」と判断した。

施術正経流注マッサージ

​うつ伏せにはできないので、仰向けや横向きの姿勢で正経流注マッサージを施す(腹部は除く)。その後、逆子治療で有名な、三陰交、至陰にお灸5〜10壮。術後「赤ちゃんが動いている」との事。

コメント:2日後の定期検診で逆子が治っており家族で大騒ぎ!…との報告を受けました。正直、施術前は「8ヶ月の胎児はある程度大きくなっているから1回じゃ無理かな〜」と思っていましたが、うまくひっくり返ってくれて、ホッとしました。

​マッサージ・はりきゅう院 MOMUZE

マッサージ・はりきゅう院 MOMUZE