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五臓の病証④ー脾

五臓の病証(全6回)。第4回目は「脾(ひ)の病証」についてです。脾は気血(エネルギー)を作りだす臓なので、その病証は多岐にわたります。ここではその代表例をご紹介します。


(1)脾胃の働き

脾の主な働きは飲食物から気血を生成する事です。とは言え、これは表裏関係にある胃との共同作業です。脾が胃に対して気血を作るよう命令し、命令を受けた胃が気血を作るのです。言わば「脾は現場監督、胃は作業員」です。以前、臓腑には「陰主陽従」という力関係が存在すると解説しましたが、脾と胃に関しては若干異なります。胃は陽気が旺盛であり、他の腑よりも働きがハッキリしているため、その存在感は脾とほぼ対等と言えるのです。だから胃は作業員ではあるけれども「態度がデカイ作業員」で自己主張も激しいのです(笑)。以上から、これから解説するのは「胃の病証」が主となります。しかしながら、胃が悪くなる背景には脾虚があるので、そのタイトルは「脾胃の病証」であります。


(2)脾胃の病証

①食欲異常ーその①

胃に陽気(熱)が少なく冷えた状態(=胃寒)では食欲はなく少食です。逆に胃に熱が多い状態(=胃熱)では通常は食欲旺盛です。しかし病気として現れる場合は食欲に変動があり「常に胃が悪い」と訴えます。また、体質として胃熱が極端に多い人(=胃実熱)は大食漢です。ちなみに熱は外方向に広がろうとする性質があるので、胃熱が多いと膨満感が現れます。


②食欲異常ーその②

食欲異常にはこんなケースもあります。一つは「食欲はあるが思ったほど食べられない」という場合です。これは以前に解説した上熱下寒で見られる症状です。つまり、腹部以下が冷えて胸に熱が残る状態では、胸の熱により胃が熱せられて一時的に食欲が出てくるものの、元々胃が冷えているのであまり食べられない…というワケです。これを古典では「飢えて食を欲せず」と言います。そしてもう一つは「食欲はないが食べれば食べられる」という場合です。これは肝虚による冷えで多く見られるのですが、肝の冷えにより胃が冷やされると食欲が無くなります。しかし、胃の内部までが冷えるワケではないので実際には食べる事ができるのです。こういう人は「無理して食べている」と表現します。


③便秘

「大腸、小腸、みな胃に属す」と言われ、大・小腸は胃の影響を強く受けます。多くの場合、腸に熱が多いと便秘になります。これは熱で水分が乾いて便が固くなるためです。腸の冷えでも便秘になる事があります。これは冷えで腸の排便機能が低下するためです。


④下痢

これも胃の影響を強く受けます。多くの場合、腸が冷えると下痢になります。この時の下痢は、腸からさらに陽気(熱)が抜けるのでグッタリします。腸の熱が多すぎても(胃実熱の場合など)下痢になります。この時の下痢は、熱を排泄するためのものなのでスッキリします


⑤倦怠感

脾胃は気血を生成するので、その機能失調により全身が栄養されないと倦怠感が現れます。特に「脾は四肢を主る(つかさどる)」とされているので四肢のだるさは顕著です。


以上が「脾胃の病証」です。まだまだ沢山あるのですが、あまり多いとややこしくなるので、これくらいにしておきます。次回は「肺の病証」です。


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