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五臓の病証⑥ー腎

五臓の病証(全6回)。最終回は「腎の病証」についてです。時に心は「陽中の陽」と呼ばれる事があります(その解説は省略)。他方、腎はこれとは真逆で「陰中の陰」です。そう聞くと「腎は控えめで大人しい臓」という印象を受けますが、実は結構イケイケの臓です。


(1)腎の働き

ここでは腎の働きを3つに分けます。一つは腎は水を貯蔵しその量を調節します。これを「水を主る(つかさどる)」と言います。もう一つは生殖・成長・老化に関わるという事です。そして最後が人体根源の陽気である「命門の陽気」を有するという事です。腎は貯蔵する水によって冷えないよう、心から陽気をもらって自身を温めます。その陽気が腎の中で変化したものが命門の陽気です。脾胃は気血を生成しますが、それは脾胃がすぐ下にある命門の陽気の温煦作用により活性化されるからなのです!(この関係は「火とかまど」に例えられます)。人間の生命活動は、こうして生成された気血によって維持されていくのです!

…とこのように、命門の陽気は「生命活動の原動力」とも言うべき存在であり、これを有する腎はメチャクチャ重要な臓と言えるのです。イケイケでしょ?


(2)腎の病証

腎虚とは、腎が持つ水の不足(熱が発生)、または命門の陽気の不足(冷えが発生)により、腎の力が弱まった状態を言います。それを踏まえて各症状の解説をします。


①老化現象

歳を追うごとに腎虚となり各種の老化現象が現れます。例えば「腎は耳に開竅(かいきょう)する」と言われており、難聴は腎虚の事が多いです。また、脳、骨、歯、髪の毛は腎の支配下にあるので、物忘れが多い、骨粗鬆症、歯がグラグラする、脱毛などの症状も腎虚と言えます。これらは自然界の摂理なので仕方ない事です。ある程度は受け入れるしかないでしょう。私も最近は明らかに「老化」を感じています(T_T)


②慢性腰痛

腰は「腎の府」と呼ばれており、腎虚になると腰痛が現れやすくなります。これは表裏関係にある膀胱の経絡(=膀胱経)が腎虚の影響を受けやすいためです。つまり、腎虚により発生した熱や冷えで、腰部を通る膀胱経の気血の流れが悪くなって痛くなる…という理屈です。


③膝の痛み

膝も腎と深く関わっています。但し、腎虚による膝痛は老化に伴うもの(骨の変形、軟骨がすり減るなど)ではないか?…と個人的には考えています。それ以外の膝痛は恐らく肝虚でしょう。なぜなら膝には多くの筋や腱があります。そして「肝は筋を主る」ので肝虚になれば膝痛にもなり得ます。あるいは、関節そのものは脾の支配下にあるので脾虚の可能性だってあるのです。…まあ、何とでも言えますね(笑)


④排尿異常

腎と膀胱は排尿と深く関わります。腎虚による熱や冷えを受けて膀胱の機能が失調すると、小便の出が悪い(スッキリ出ない)または頻尿などの症状が現れます。


⑤不妊症

以前、不妊症は肝虚によるものが多いと解説しましたが、不妊治療の際は、肝のみならず生殖に関わる腎へのアプローチも必要だと考えます。


⑥冷え性

他臓の虚でも冷え性はあります。しかし腎虚による冷え性は、人体根源の陽気である「命門の陽気」の不足なので、その程度は強いと思われます。特に腎虚の症状は下半身に出やすいとされているので足の冷えは多く見られます。


⑦むくみ

腎は「水を主る」ので、その機能失調は浮腫となります。女性においては下腿部の筋量が少なく筋ポンプ作用が弱いため、下腿の浮腫は現れやすいです。


以上が「腎の病証」です。全6回にわたり「五臓の病証」を解説してきましたが、これらは私の実際の経験や、経絡治療の教科書などの記載を簡潔にまとめたものでした。中には間違いがあったかもしれませんが、その際はどうかご容赦を…。ブログをご覧になった方で「この症状、自分にもある!」と感じたならば、是非、当院にお越し下さいませ。改善できるよう全力でサポート致します! 長々とお付き合い頂きありがとうございました。


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